【資料2】 公契約法(公共工事における賃金等確保法)〔要綱試案〕

第1(目的等)
この法律は、国をはじめとする公の機関が発注する公共建設・土木事業等について、公の機関の支払う対価が作業に従事する労働者に公正に配分されることを 確保し、また、作業に従事する労働者の労働時間その他の労働条件を適正に確保し、もって公金の公正な支出と工事等の質の確保に資することを目的とする。

第2 (適用範囲)
この法律は、次の各号のすべての要件に該当する契約に適用する。
1、契約の一方当事者が、次のいずれかであること(以下、これらを総称して、「国等」という)
イ 国の機関
口 法令による公団、公庫もしくは金庫
ハ 出資金もしくは基金の過半数以上を国が有する法人
ニ 地方自治体(契約の対価の三分の一以上について国が負担する場合に限る)
2、国等が契約の対価を負担し、その金額が政令で告示する金額以上であること。
3、契約の他方当事者が契約上の義務を履行する際に、労働者を使用すること。
4、契約の内容が、次のいずれかであること。
イ 建設・土木に関する工事(変更、修理、飾り付けもしくは解体を含む(工事の実施を含まない設計・企画は除く)
口 (今後の検討で契約類型を追加する)

第3 (元請負人の責任)
公契約工事等の受注者は、次の各号のいずれかに該当する者にこの法律の定める労働条件が 確保されるよう必要な措置を講じる義務を負う。
1、受注者に雇用され、公契約工事等に従事する労働者 2、公契約工事に従事する下請負人に雇用され、公契約工事等に従事する労働者
3、受注者またはその下請負人と請負契約を締結した者であって、大規模な機械を持たず、 資材調達を自ら行なわず、自ら公契約工事等についての労務提供を行ない、その出来高に 応じて月一回以上対価の支払を受ける者

第4 公契約工事等における賃金額
公契約工事等の受注者又は受注者から工事を請負った者が労働者に対して支払う賃金額は、 次の各号のいずれからも下回ることができない。

第5 一般職種別標準賃金額の適用除外
1、未熟練等の合理的理由がある場合には、労働大臣が告示する一般職種別標準賃金額の規定の適用を除外できる。
2、前項により、適用除外される労働者の数は、公契約工事等に従事する労働者の職種毎に3分の1を限度とする。 また、支払われる賃金の額は標準賃金額の3分の1を下回ることができない。
3、公契約工事等の受注者又は受注者から工事を請け負った者は、一般職種別標準賃金額の規定を受けない労働者 を公契約工事に使用する前に、当該労働者から賃金額に同意する旨の書面の交付を受けておかなければ、当該労働 者を一般職種別標準賃金額の規定の適用除外とすることができない。

第6 公契約工事等における労働時間
公契約工事等に従事する労働者の週所定労働時間は40時間とする。

第7 賃金および労働時間以外の労働条件
公契約工事等に従事する労働者の労働条件のうち、賃金および労働時間を除く事項については、 次のいずれからも下回ることができない。
1、一つの地域に従事する同種の労働者に適用される労働協約が定める条件。  但し、当該労働協約の当事者双方または一方の申立に基づき、労働委員会の決議を経て、 労働大臣又は都道府県知事が一つの地域において従業する同種の労働者の過半数に適用されることを認定し、 その旨告示することを必要とする。
2、前掲一号による労働協約の定めがない事項について、当該地域に隣接する地域に従業する同種の労働者に 適用される労働協約が存在するときは、その定める労働条件。
但し、当該労働協約の当事者双方又は一方の申立に基づき、労働委員会の決議を経て、 労働大臣または都道府県知事が一つの地域において従業する同種の労働者の過半数に適用されることを認定し、その旨告示することを必要とする。 3、受注者の営業と同一の種類の営業において、慣行として当該地域で確立している労働条件。
4、法律又は規則の定め。

第8 受注者の連帯責任
公契約工事等の受注者は、下請負人の雇用する労働者が下請負人に対して有する債権であって、次の各号のいずれ かに該当するものについて、下請負人と連帯して支払う義務を負う。
1、公契約工事等に従事したことについて支払われた賃金がこの法律に基づき定められる賃金 (時間外手当を含む)を下回った場合における賃金差額。
2、下請負人たる事業主が法令又は労働契約に基づき労働者に対し負担する金銭の支払義務であって、 公契約工事等に従事させたことに起因して発生したもの。

第9 受注者による周知徹底
公契約工事等の受注者は、公契約工事等の作業場の労働者が見やすい場所に、常時次の事項を掲示して、工事に 従事する労働者に周知を図らなければならない。
1、賃金に関して一つの地域に従業する労働者の過半数に適用される労働協約があり、これが告示されている場 合は、それの定める賃金額。
2、この法律に基づき定められた一般職種別標準賃金額。
3、所定労働時間。
4 所定休日。
5、受注者は、法律及び契約に基づき、下請負人に雇用される労働者に対しても、賃金、労働時間、及び、 それ以外の労働条件を確保する義務を負うこと。
6、前号の義務の遵守について責任を負う者の氏名とその連絡先。
7、国等の発注者の名称と連絡先。

第10 履行確保の方法
1、支払留保
1) 公契約工事等に従事する労働者から次の申出があり、申出に相当な理由があるとき、発注者たる国等は、 申出のなされた額の全部または一部について、受注者に対する支払を留保する。
イ 受注者がこの法律に基づき公契約工事等に従事する労働者に対し負担する義務を履行していないこと。
口 受注者らが当該労働者に支払うべき金額が確定していること。
ハ 受注者に代わって発注者たる国等が契約代金の中から当該労働者に直接支払うことを求めること。
2) 支払留保の額は、公契約工事等の対価の総額のうちの一定の割合の額を限度とする。割合については、 契約の種類と金額に応じて政令で定める。
2、労働者に対する直接支払
1) 国等の発注者は、受注者に意見陳述の機会を与えた上で、労働者の申出に相当の理由があると認める場合、 労働者の申出に応じて請求額の全部又は一部を直接支払うことができる。この場合、国等の発注者は、 労働者に直接支払った額について受注者に対する支払義務を免れる。
2) 国等の発注者は、労働者の申出に基づき当該労働者に直接支払を行ったことについての重大な過失がある 場合に限り、これにより受注者の蒙った損害を賠償する義務を負う。
3) 労働者に対する直接支払に異議のある受注者は、支払を受けた労働者に対し国等の発注者から支払を受け た金員の返還を求めることができる。
3、支払留保の解除
1) 国等の発注者は、直接支払の申出を認める証拠が不十分であると判断したときは、申出をした労働者に対し、 通知を発した日から三〇日以内に、受注者を相手としてその権利を確定するため訴訟提起、調停申立、仲裁申立等 の法律上の手続を行ない、申立等が受理されたことを証明する書類を提出するよう催告する。
2) 申出をした労働者の権利が法律上確定したとき、国等の発注者は支払を留保した限度で、申出をした労働 者に請求額を支払い、その額について受注者に対する支払を免れる。
3) 国等の発注者は、次のいずれかの場合、受注者に対する支払留保を解除する。
イ 通知を発した日から30日以内に訴状等が受理されたことを証明する書類が提出されないとき。
ロ 労働者の所在が不明であるとき。
ハ その他、支払留保を解除すべき相当な理由があるとき。

第11 公契約で定められるべき受注者の義務
公契約には、公契約を締結した受注者の義務として、次の事項を定めなければならない。
1、賃金支払義務
1) 公契約工事等に従事する労働者に支払われる賃金は、この法律に基づき定められる賃金を下回らないこと。
2) 公契約工事等に従事する労働者であって下請の事業主に雇用される者に対し支払われる賃金がこの法律に 基づき定められる賃金を下回ったとき、公契約を締結した受注者は、差額賃金の支払について、労働者を雇用 する者と連帯して支払義務を負うこと。
2、賃金以外の労働条件確保の義務
1) 公契約工事等の遂行過程で、下請の事業主が労働基準法その他の労働に関する法令の規定を遵守するよう 万全の措置を講じること。
2) 公契約工事等に従事する労働者の所定労働時間は週四〇時間とすること。
3) 公契約工事等に従事する労働者を雇用する下請の事業主が法令又は当事者間の契約に基づき労働者に対し 負担する金銭の支払義務であって、公契約工事等に従事させたことに起因して発生した支払義務は、賃金以外 についても、公契約を締結した受注者が連帯して支払の義務を負うこと。
3、周知の義務
この法律によって掲示を義務付けられた事項について掲示を行ない、関係労働者に周知をはかること。
4、法律の定める手続についての同意
この法律の定める支払留保と直接支払の手続に異議なく同意し、これに従うこと。

第12 監督と制裁
1、是正命令・契約解除
1) 公契約工事等の受注者にこの法律で定める義務違反があったとき、国等の発注者が指定する職にある者は、 公契約工事等の受注者に対して、速やかに是正措置を講じることを命じなければならない。
2) 契約を継続しがたい重大な義務違反があるとき、国等の発注者は契約違反を理由に公契約を解除すること ができる。
2、新規契約締結の停止
公契約工事等の受注者に重大な義務違反があるとき、又は公契約工事等の受注者が是正措置を講じることを 命じられながら是正を怠ったと認められるとき、国等の発注者は、公契約工事等の受注者から聴問を行なった 上で、その者に対し一定期間を定めて新規に公契約を締結しないものとする処分を行ない、 官報により公告する。
3、調査
1) 国等の発注者が指定した職にある者又は労働基準監督官は、この法律の定めの履行状況を確認するため、 公契約工事等に関連する事業場に立ち入り、賃金帳簿もしくは、労働条件に関する書類の提出を求め、又は、 使用者もしくは労働者に対して質問をおこなうことができる。
2) 国等の発注者の指定した職にある者又は労働基準監督官は、公契約工事等における賃金を定める資料を 得るため、関連する事業場、労働組合又は関連する団体等に調査の協力を求めることができる。
3) 労働基準監督官は、この法律に違反する事実を知ったときは、速やかに国等の発注者に通知する。
4) 労働基準監督官は、この法律に違反する事実を知ったとき、会計検査院に通知することができる。

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首都圏建設産業ユニオン・賃金対策部・文責高野
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