【資料3】公契約条例(公共工事における賃金等確保条例)

【要綱試案】地方自治体のケース

第1 (目的等)
○○市が発注する公共建設・土木事業等について、○○市の支払う対価が作業に従事する労働者に公正に配分されることを確保し、また、作業に従事する労働者 の労働時間その他の労働条件を適正に確保し、もって、公金の公正な支出と工事等の質の確保に資することを目的とする。

第2 (適用範囲)
この条例は、次の各号のいずれかに該当する契約に適用する。但し、随意契約であって、その対価が○○市長の告示する金額を下回る契約については、適用を除外する。
1、〇〇市が発注者となり、受注者が土地の工作物についての建設、変更、補修、又は解体に関する工事を完成させ、○○市がその対価を支払う契約
2、(今後の討議で契約類型を追加する)

第3 (元請負人の責任)
公契約工事等の受注者は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、この条例の定める労働条件が確保されるよう必要な措置を講じる義務を負う。
1、受注者に雇用され、公契約工事等に従事する労働者
2、公契約工事に従事する下請負人に雇用され、公契約工事等に従事する労働者
3、受注者又はその下請負人と請負契約を締結した者であって、大規模な機械を持たず、資材調達を自ら行なわず、自ら公契約工事等についての労務提供を行ない、その出来高に応じて月一回以上対価の支払いを受ける者

第4 公契約工事等における賃金額
公契約工事等の受注者又は受注者から工事を請負った者が○○市長の指定する職種の労働者に対して支払う賃金額は、次の方法により決定される賃金を下回ることができない。
1、賃金に関する一つの労働協約が○○市所在の事業場に勤務する指定職種の労働者の過半数に適用される場合には、その労働協約が定める賃金額
2、賃金に関して○○市所在の事業場に勤務する指定職種の労働者に適用される労働協約が複数存在し、いずれの協約も単独では○○市所在の事業場に勤務する 指定職種の労働者の過半数に適用されてはいないが、複数の労働協約が適用される労働者を合算した数が○○市所在の事業場に勤務する指定職
種の労働者の過半数となる場合には、指定職種毎に低い定めの協約をもって前掲一号による協約とみなす。
3、前各号により標準賃金額を定めることができないときは、○○市長が、雇用期間の定めの有無の別、職種別に定めて告示する一般職種別標準賃金額。 但 し、右賃金額は、○○市における同種の職に従事する熟練労働者に対し一般的に支払われている賃金を基準として定めなければならず、また、利害関係のある労 働者を代表する者、及び、労働者を使用する者を代表する者の意見を聞いて定めなければならない。

第5 一般職種別標準賃金額の適用除外
1、未熟練等の合理的理由がある場合には、○○市長が告示する一般職種別標準賃金額の規定の適用を除外できる。
2、前項により、適用除外される労働者の数は、公契約工事等に従事する労働者の指定職種毎に、3分の1を限度とする。また、支払われる賃金の額は一般職種別標準賃金額の3分の1を下回ることができない。
3、公契約工事等の受注者または受注者から工事を請け負った者は、一般職種別標準賃金額の規定の適用を受けない労働者を公契約工事に使用する前に、当該労 働者から適用除外に同意する旨の書面の交付を受けておかなければ、当該労働者を一般職種別標準賃金額の規定の適用除外とすることができない。

第6 公契約工事等における労働時間
公契約工事等に従事する労働者の週所定労働時間は40時間とする。

第7 賃金および労働時間以外の労働条件
公契約工事等に従事する労働者の労働条件のうち、賃金および労働時間を除く事項については、次の各号のいずれの労働条件からも下回ることができない。1、 公契約工事等における労働と同一の種類の労働に従事し、かつ、○○市所在の事業場に勤務する労働者の過半数に適用される労働協約の定める労働条件。
2、〇〇市の近隣の地域における労働協約であって、公契約工事等における労働と同一の種類の労働に従事し、かつ、当該地域の事業場に勤務する労働者の過半数に適用される労働協約の定める労働条件。
3、受注者の営業と同一の種類の営業において、慣行として確立している労働条件。
4、法律又は規則により定められる労働条件。

第8 受注者の連帯責任
公契約工事等の受注者は、下請負人の雇用する労働者が下請負人に対して有する債権であって、次の各号のいずれかに該当するものについて、下請負人と連帯して支払う義務を負う。
1、公契約工事等に従事したことについて支払われた賃金がこの条例に基づき定められる賃金(時間外手当を含む)を下回った場合における、賃金差額
2、下請負人たる事業主が法令または労働契約に基づき労働者に対し負担する金銭の支払い義務であって、公契約工事等に従事させたことに起因して発生したもの。

第9 受注者による周知徹底
公契約工事等の受注者は、公契約工事等の作業場の労働者が見やすい場所に常時次の事項を掲示して、工事に従事する労働者に周知を図らなければならない。
1、この条例によって定められた一般職種別標準賃金額。
2、所定労働時間。
3、所定休日。
4、受注者は、条例及び契約に基づき、下請負人に雇用される労働者に対しても、賃金、労働時間、及び、それ以外の労働条件を確保する義務を負うこと5、前号の義務の遵守について責任を負う者の氏名とその連絡先。

第10 履行確保の方法
1、支払留保
1) 公契約工事等に従事する労働者から次の申出があり、申出に相当な理由があるとき、○○市は、申出のなされた額の全部又は一部について、受注者に対する支払いを留保する。
イ 受注者がこの条例に基づき公契約工事等に従事する労働 者に対し負  担する義務を履行していないこと。
ロ 受注者らが当該労働者に支払うべき金額が確定していること。
ハ 受注者に代わって○○市が契約代金の中から当該労働者に直接支払う  ことを求めること。
2) 支払留保の額は、公契約工事等の対価の総額のうち一定の割合の額を限度とする。割合については、契約の種類と金額に応じて、○○市長が告示して定める。
2、労働者に対する直接支払
1) ○○市は、受注者に意見陳述の機会を与えた上で、労働者の申出に相当の理由があると認める場合、労働者の申出に応じて請求額の全部又は一部を直接支払うことができる。この場合、○○市は、労働者に直接支払った額について受注者に対する支払義務を免れる。
2) ○○市は、労働者に直接支払いを行なったことについての重大な過失がある場合に限り、これにより受注者の蒙った損害を賠償する義務を負う。3) 労 働者に対する直接支払に異議のある受注者は、支払いを受けた労働者に対し支払を受けた金員の返還を求めることができる。
3、支払留保の解除
1) ○○市は、直接支払の申出を認める証拠が不十分であると判断したとき、申出をした労働者に対し、通知を発した日から三〇日以内に、受注者を相手とし てその権利を確定するため訴訟提起、調停申立、仲裁申立等の法律上の手続きを行ない、かつ、申立等が受理されたことを証明する書類を提出するよう催告す る。
2) 申出をした労働者の権利が法律上確定したとき、○○市は支払を留保した限度で、申出をした労働者に請求額を支払い、その額について受注者に対する支払いを免れる。
3) ○○市は、次のいずれかの場合、受注者に対する支払留保を解除する。イ 通知を発した日から三〇日以内に訴状等が受理されたことを証明する書類が提出されないとき。
口 労働者の所在が不明であるとき。
ハ その他、支払留保を解除すべき相当な理由があるとき。

第11 公契約で定められるべき受注者の義務
公契約には、公契約を締結した受注者の義務として、次の事項を定めなければならない。
1、賃金支払義務
1) 公契約工事等に従事する労働者に支払われる賃金は、この条例に基づき定められる賃金を下回らないこと。
2) 公契約工事等に従事する労働者であって下請の事業主に雇用される者に支払われる賃金がこの条例に基づき定められる賃金を下回ったとき、公契約を締結した受注者は、差額賃金の支払いについて、労働者を雇用する者と連帯して支払義務を負うこと。
2、賃金以外の労働条件確保の義務
1) 公契約工事等の遂行過程で、下請の事業主が労働基準法その他の労働に関する法令の規定を遵守するよう万全の措置を講じること。
2) 公契約工事等に従事する労働者の所定労働時間は週四〇時間とすること。3) 公契約工事等に従事する労働者を雇用する下請の事業主が法令又は当事者 間の契約に基づき労働者に対し負担する金銭の支払義務であって、公契約工事等に従事させたことに起因して発生した支払義務は、賃金以外についても、公契約 を締結した受注者が連帯して支払の義務を負うこと。
3、周知の義務
この条例によって掲示を義務付けられた事項について掲示を行ない、関係労働者に周知をはかること。
4、条例の定める手続きについての同意
この条例の定める支払留保と直接支払の手続きに異議なく同意し、これに従うこと。

第12 監督と制裁
1、是正命令・契約解除
1) 公契約工事等の受注者にこの条例で定める義務連反があったとき、○○市長又はその指定する職にある者は、公契約工事等の受注者に対し、速やかに是正措置を講じることを命じなければならない。
2) 契約を継続しがたい重大な義務違反があるとき、○○市は契約違反を理由に公契約を解除することができる。
2、新規契約締結の停止
公契約工事等の受注者に重大な義務違反があるとき、又は、公契約工事等の受注者が是正措置を講じることを命じられながら是正を怠ったと認められるとき、 ○○市長は、公契約工事等の受注者から聴問を行なった上で、その者に対し一定期間を定めて新規に公契約を締結しないものとする処分を行なう。
3、調査
1) ○○市長もしくはその指定した職にある者は、この条例の定めの履行状況を確認するため、公契約工事等に関連する事業場に立ち入り、賃金帳簿もしくは、労働条件に関する書類の提出を求め、又は、使用者もしくは労働者に対して質問を行なうことができる。
2) ○○市長もしくはその指定した職にある者は、公契約工事等における賃金を定める資料を得るため、関連する事業場、労働組合又は関連する団体等に調査の協力を求めることができる。

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首都圏建設産業ユニオン・賃金対策部・文責高野
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